伴走からはじまる組織開発──即効薬も万能薬もない支援の本質

今日は立冬。
秋が日に日に深まり、木々の葉が黄色や赤に色づき、落ち葉が道をやさしく彩っている。
昼間は暖かかったのに、夕方から吹く風は一気に冷たくなり、季節の移ろいを感じる。

私は、中小企業の組織開発を「伴走型」で支援している。
今日はその中で感じていることを、少し書いてみたい。

“組織開発”とは何か。
改めて定義を調べてみると、次のように書かれていた。

「組織開発(OD:Organization Development)は、組織の健全さ、効果性、そして自己革新力(self-renewing capabilities)を高めるために、組織を理解し、発展させ、変革していく、計画的で協働的なプロセスである。」

つまり目的は、組織の健全さ・効果性・自己革新力を高めること。
そのために、組織を理解し、発展させ、変革していくことが求められる。

私が組織開発の支援に携わって感じるのは、大きく次の2点である。


① 伴走でなければできない支援である

組織開発には即効薬はない。
支援を依頼されるときには、すでに「組織の健全さ」に何らかの支障があることが多い。
ときには、火消しのような緊急対応から始まることもある。
だからこそ、数回で終わるものではなく、腰を据えて何年もかけて取り組む覚悟が必要だ。


② 個別性が極めて高く、実践的である

組織の課題は、トップのあり方、人間関係、仕組み、文化などが複雑に絡み合っている。
原因を一つに特定することには、あまり意味がない。
そこに生じている状態は、組織ごとにまったく異なり、一般論やマニュアルが通用しないのだ。

より良い方向に進むために、どこにどう働きかけるか――
それは考え、試し、実践を重ねていくしかない。
そのときの鍵は「組織と人をどう理解するか」にある。

なんでも話してもらえる関係を築き、相手の話を聴き、引き出し、
そして納得して行動してもらう。
この一連のプロセスこそが、組織開発における本質的な支援力だと思う。
だからこそ、コーチング的対話力やファシリテーション力は欠かせない。


組織開発の現場に関わるほど、私は「コーチング力を高めることの大切さ」を痛感している。
そして今は、「伴走支援をするためにコーチングを使う」というよりも、
「コーチング的な伴走そのものが、組織開発を支える」――
そんな考え方に自分の中で整理がつきつつある。

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