意思決定の質を変える「前提への問い」

今朝は、ホトトギスの朗らかな鳴き声で目を覚ました。
桜の花が散ってしまった寂しさを、一気にかき消すように、
ハナミズキやサトザクラが美しく咲き、
つつじ色に染まった生垣も、本当に見事だ。

この季節が、やはり一番好きだ。
こんな爽やかな日々が、もう少し続いてくれたら嬉しい。

私は個別のエグゼクティブコーチングを行うこともあるが、
中小企業の経営者や役員、部長の方々への支援では、
コーチング的な対話を中心に関わっている。

その際に大切にしていることが、大きく二つある。

一つは、施策を考える際に、
「何のために、なぜやるのか」という目的と、
「どうなったら成功なのか」という到達点(成功の尺度)を
言葉にしてもらうこと。

そしてもう一つが、
意見や願い、主張が出てきたときに、
その「前提」を丁寧に問うことだ。

今日は、この「前提を問うこと」に焦点を当ててみたい。

「こうやりたい」「こうできたらいい」という願い。
あるいは「こうすべきだ」という主張。
また、意思決定に迷っている場面。

そうしたときに言葉になるのは、
実はごく一部の“表層”であることが多い。

私は最近、その言葉の奥にある「前提」に意識的に目を向け、
問いかけるようにしている。

前提を言語化してもらうと、
そこには、その人の価値観や判断軸、
物事の捉え方が浮かび上がってくる。

言い換えれば、
その人がどんな世界を見ているのか――
その“解像度”が一気に高まるのだ。

もちろん、その中には、
過去の成功体験に紐づいた固定観念や、
無意識の思い込み、認知の歪みが含まれていることもある。

それでも、表面的な言葉だけを受け取っていたときと比べて、
相手の世界観を理解できる分、
「分かり合えないまま溝が深まる」という状態にはなりにくい。

むしろ、どこに橋を架ければよいのかが見えてくる。
対話が、次の一歩へとつながりやすくなるのだ。

そしてもう一つの効用は、
問われた本人が、自分の前提に気づけることにある。

「なぜ自分はそう考えているのか」
「その前提は本当に妥当なのか」

そこに気づくことで、
自然とメタ認知が働き始める。

その結果、
自分自身の意思決定の質が高まり、
他者との理解も深まっていく。

前提を問うというシンプルな関わりが、
実は、意思決定や関係性に静かに、しかし確実に影響を与えている。

そう感じる場面が、少しずつ増えてきた。

まずはこの「前提を問う」という姿勢を大切にしながら、
支援の質を、さらに高めていきたいと思っている。

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