境界線を守るという優しさ

関東地方は梅雨明けがまだ先のようだが、昨日から真夏を思わせる暑さが続いている。

 

今日は、NHKの朝ドラ『風、薫る』を観て感じたことを書いてみたい。

ドラマでは、余命いくばくもない患者に頼まれ、病院の許可を得ずに自宅へ連れ帰ってしまうという場面が描かれていた。

 

人として見れば、患者に心から寄り添った思いやりのある行動に映る。

しかし、看護師という専門職として考えれば、その行動は職業倫理に反するものであり、許されるものではない。

この場面を見ながら、「思いやり」と「職業倫理」の境界線について考えさせられた。

 

対人支援の現場でも、この葛藤は決して珍しいことではない。

相手の苦しみや悲しみに触れると、「何とかしてあげたい」「助けてあげたい」という気持ちは自然に湧いてくる。

その思い自体は、とても大切なものだと思う。

けれど、その感情に飲み込まれてしまうと、本来守るべき境界線を越えてしまうことがある。

 

看護師であれば、それは命に関わる重大な問題になり得る。

だからこそ、職業倫理は専門職にとって欠かすことのできない土台なのだろう。

 

これは、コーチングにも通じることだ。

コーチも、「助けてあげたい」「何とかしてあげたい」という思いが強くなり過ぎると、クライアントの自立を妨げてしまうことがある。

さらに、その奥に「役に立つ人と思われたい」「良いコーチと思われたい」という気持ちが潜んでいるとしたら、なおさら注意が必要なのだと思う。

 

感情が大きく動くと、人は客観性を失いやすい。

そして、知らず知らずのうちに境界線を越えてしまうこともある。

 

そんな時こそ、一人で判断しないことが大切なのではないだろうか。

信頼できる人に相談したり、第三者の視点を借りたりすることで、自分自身も少し冷静さを取り戻すことができる。

思いやりは大切にしたい。

だからこそ、その思いやりを相手にとって本当に良い形で届けるためにも、職業倫理を忘れず、自分自身を客観視し続けることが、対人支援者には求められているのだと改めて感じた。

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