AI時代だからこそ、対話の価値が高まる

このところ、大気の状態が不安定だ。
雷鳴とともに強い風が吹き、突然雨が降り出すことも少なくない。
とはいえ、猛暑が少しだけ和らぐのは、とてもありがたいことだと感じる。
今日は、あるクライアント(仮にAさんとしておこう)の話から、AI時代における対話の価値について考えてみたい。
Aさんは、コンサルティング案件で、現状の業務フローを調査するため、約半月間クライアント先に常駐することになった。
その際、Aさんが最も大切にしたことは、「まず信頼関係を築くこと」だったという。
ヒアリングを始めるにあたり、自分の前提や先入観はいったん脇に置き、ゼロベースで相手の話を聴くことを心がけたそうだ。
業務の中に非効率や不合理と思われることがあっても、それを否定したり評価したりすることはしない。
「なぜ、このやり方になっているのだろう」
そんな純粋な好奇心を持って、一つひとつ丁寧に尋ねていったという。
もちろん、仕事への誠実さや、一生懸命さ、必要な情報提供を惜しまないことは大前提である。
そのうえで、対話では一貫して相手を尊重する姿勢を貫いた。
その結果、とても協力的な関係が築かれ、多くのことを率直に話していただけたそうだ。
これはコーチングのセッションではない。
現状分析を行う、コンサルティングのヒアリングである。
それでも私は、この話を聞いて、とても嬉しくなった。
そこには、まさにコーチングマインドに基づく対話があったからだ。
Aさんはコーチではない。
けれど、長年コーチングを受けてこられた方であり、その姿勢が自然と仕事の中に息づいていた。
コーチング的な対話とは、自分の色眼鏡をいったん外し、相手を理解したいという純粋な姿勢で言葉を紡いでいくことなのだと思う。
さらにAさんは、そうした対話を通じて、言葉になっていなかった暗黙知や、長年の慣習の中にある意味や価値まで引き出すことができたという。
その結果、本当の課題も少しずつ見えてきたそうだ。
AIは課題解決を得意とする。
形式知として整理された情報があれば、驚くほど速く分析し、提案までしてくれる。
しかし、暗黙知そのものを引き出すことは、まだ人と人との対話だからこそできる営みではないだろうか。
だからこそ、暗黙知を言葉にしていただく力は、AI時代において、ますます価値を持つように思う。
コーチング的な対話は、コーチだけのものではない。
相手を理解しようとする姿勢は、コンサルティングでも、マネジメントでも、そして日々のコミュニケーションでも、大きな力になる。
私自身も、伴走支援を続ける中で、この姿勢を何より大切にしていきたいと思う。
