コーチは、なぜ話し過ぎないのか

猛暑が続いている。
さすがに日中34度を超える時間帯に30分歩くのは、身体にこたえる。
いつもなら歩く距離も、今日は無理をせずバスを利用した。
さて、今日は「コーチングでは、なぜクライアントが多く話すことが大切なのか」について書いてみたい。
先日、コーチングのセッション練習会で、初めてフルセッションに挑戦された方にフィードバックをする機会があった。
その中で私は、
「コーチが話す時間が少し長かった。」
とお伝えした。
すると、その方は少し戸惑われたようだった。
話を伺うと、
「クライアントの話をしっかり受け止めていますよ、理解していますよ、という気持ちを伝えたかった」
という思いがあったそうだ。
その誠実さは、とてもよく伝わってきた。
だからこそ、コーチングでは少し違った考え方をすることをお伝えした。
ICF(国際コーチング連盟)のコーチングでは、「クライアントセンタード」という姿勢を大切にしている。
コーチングの時間は、コーチの時間ではなく、クライアントの時間である。
だからこそ、コーチは最小限の関わりで、最大限の変化を生み出すことを目指していく。
さらにICFでは、コーチングを
「思考を刺激する創造的なプロセス」
と定義している。
クライアントは、自分で考え、自分の言葉で話すことで思考が深まっていく。
普段考えたことのない問いを投げかけられ、それについて言葉を探しながら話す。
そのプロセスそのものが、新たな気づきを生み出しているのである。
実は、話し終わったあとも、クライアントの思考は続いている。
そんな時に、コーチが長く話し始めたり、すでにクライアントが話した内容を詳しく繰り返したりすると、その思考の流れが一度途切れてしまうことがある。
せっかく芽生え始めた気づきの種が、そこで止まってしまうこともあるのだ。
だから、コーチはできるだけクライアントに話してもらう。
時には沈黙を大切にし、余白をそのまま味わってもらう。
その余白の中でも、人は考え続けている。
そうして思考が刺激され続けることで、対話は創造的なものになっていく。
コーチは「話すこと」で価値を提供するのではなく、「考えられる場」をつくることで価値を提供する。
これは、私自身も学び続けているコーチングの本質の一つである。
これからコーチングを学ぼうとしている方や、誠実だからこそ、つい話し過ぎてしまうコーチの方に届けたいと思い、今日は書いてみた。
